「自分が信じる道を迷わず進む」 ラグビー選手・鈴木実沙紀
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「自分が信じる道を迷わず進む」 ラグビー選手・鈴木実沙紀

3月の「女性史月間」にアンダーアーマーのWOMEN’Sプロジェクトチームは、5人の女性のストーリーをお届けしています。「スポーツを通して女性をエンパワーする」というテーマの下、こちらのnoteでは5日連続でインタビューの全編を掲載。どんな状況でもブレることなく、信念を持って自身の夢や目標に向かって進む彼女たちの姿を通して、スポーツのある生活の素晴らしさや、自分らしく生きることの大切さをお伝えできればと思います。

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第4回は、アンダーアーマーと契約するラグビー選手の鈴木実沙紀さんです。鈴木さんは学生時代、女子ラグビー部がない中で、高校と大学では男子と共に練習をしていました。これまでの常識にとらわれず、道なき道を切り拓くマインド。海外経験などを通して学んだ多様性とお互いを称える姿勢。困難にぶつかっても、軽やかに壁を乗り越えていく、鈴木さんのポジティブな生き方に迫りました。

(聞き手=山下かおる、撮影=源田類)

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鈴木実沙紀(すずき・みさき)
タグラグビーをきっかけに、13歳でラグビーを始める。
進学した市立船橋高校、関東学院大学では、男子選手と練習していた。
2010年に初めて7人制日本代表に選ばれると、2012年には史上最年少で
15人制日本代表の主将を務めた。2021年にニュージーランドで開催される、
女子ラグビーワールドカップの出場を目指している。

自分の居場所を探す、たった一人の女子部員


―ラグビーを始めたきっかけを教えてください。

小学校の授業でタグラグビーという身体の接触がないラグビーをやったのがきっかけです。他のスポーツだと足の速い男の子にかなわないことが多いですが、タグラグビーだと女の子だけのチームで勝つことができたのです。それが楽しくて、どっぷりはまっていきました。

―一般的に、ラグビーは男性のスポーツというイメージがありますが、女性がプレーする上で壁を感じることはありましたか?

当時は、今よりもっと女性でラグビーをする人が少なかったです。女子ラグビーの存在すら知られていませんでした。「女子にラグビーができるの?」というところから始まって、一緒にやる中でお互いに理解を深めて、少しずつ認めてもらっていきました。

―最初に男性と練習した時のことを教えてください。どんな気持ちになりましたか?

高校には女子のチームがなかったため、先輩の勧めで男子ラグビー部に入りました。そして、初めて男の子と一緒に練習をした時、強さも速さも想像を超えていました。正直、最初は戸惑ってばかりだったのですが、遠慮していては相手の練習の質を下げてしまいます。ある時、自分の中での迷いを吹っ切って、「どれだけはじき飛ばしてもいいから、思い切りやって」と伝えました。すると、男子選手が少しずつ本気でやってくれるようになりました。そして、もっとこうしてほしいと、要求してもらえるようになっていったのです。1人の部員として認めてもらえたことが、とてもうれしかったです。

―「吹っ切って」と言うのは簡単ですが、それを実行に移すのがとても大変だと思うのですが。

確かに、腹を割って話せるような関係になるまでは時間がかかりました。でも、まずは自分の姿勢を見せることにしたのです。あいさつだけでなく、フィールド外でも話しかけて、友だちになるところから始めました。信頼を勝ち取るのに、年齢や性別などは一切関係ないと思います。

―女性は公式戦に出場できない中で、どのような時に楽しさを感じていたのですか?

高校でも大学でも大会の規定などにより、女性は公式戦には出られなかったのですが、対戦相手のチームが了承すれば、練習試合に出場することはできました。試合の中で活躍できた時に、チームメイトが駆け寄ってきて、「ナイスプレー」と声をかけて、ハイタッチをしてくれました。少しだけど、このチームに自分も貢献できていると感じられることがうれしかったです。


桜のジャージを着て世界と戦う覚悟


―日本代表に選ばれて、代表チームのシンボルである「桜のジャージ」に袖を通した時は、どのような感情がわいてきましたか?

ラグビーに出会わなかったら、会えなかった人たち、見えなかった景色があります。それを特に強く感じたのが、日の丸を背負って国際試合に臨む時です。試合前の国歌斉唱では、まず自分がフィールドに立っていること自体がうれしくて、感謝の気持ちが生まれました。そして、観客席にいるサポーターの顔が見えた時、これだけの人たちに自分がやってきたことを見てもらえるんだ、とワクワクしました。

―普段は男性と一緒に練習していることで、試合で新たな発見などはありましたか?

いつも男子と一緒に練習していたおかげで、試合でパワーやスピードのある外国人選手と戦っても、あまり戸惑うことがありませんでした。常に世界を意識できたというのは大きかったです。また、所属していた大学のラグビー部は男子部員が100人以上いたので、チームをまとめたり信頼関係を築いたりするのが大変でした。それに比べて、女子のチームは人数が少ないので、一人ひとりと向き合うことが可能で、より効果的なコミュニケーションを取ることができました。

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自分を認めてあげることで、前向きに生きられる


―自分と違う意見を受け入れられるようになった、きっかけは何かあったのでしょうか?

以前は、やるからにはトップを目指すことだけ考えていて、それが自分の美学でした。しかし、ニュージーランドに留学した時、仕事をしながら、子育てをしながらラグビーをプレーする人たちに出会いました。ラグビーを心から楽しんでいて、自分の生活を豊かにするためにプレーする人たちと交流する中で、「こうじゃなきゃダメ」と思っていた自分がとても小さいなと感じました。道を極めるのもいいし、楽しむ手段でもいい。いろんな文化や考え方があることを知って、自分のスタンスが変わっていきました。

―他に海外生活で学んだことはありますか?

外国人選手は、とにかく切り替えが上手です。ミスをして試合に負けてしまったとしても、「今日は私たちの日じゃなかった」という感じでリセットできます。日本人はすべてを自分で背負い込んで、追い詰めてしまいます。オフでもずっとラグビーのことを考えてしまうし、練習の映像を見続けてしまう。休みの時は、一度完全にラグビーから離れる時間を作るのも大事だと学びました。そうすることで、次の日にラグビーに戻った時に客観的に自分を見られるようになります。好きだからこそ、一度離れる。これは、仕事などにも通じる部分があると思います。一回リセットすることによって、新しいものがふっと入ってくる感覚です。

ー実沙紀さんは、いつ頃からこんなにポジティブになったのでしょうか?

昔は決してポジティブではありませんでした。さまざまな経験をしたり、海外の文化に触れたりすることで、「起きたことは仕方ない」と考えられるようになっていったのです。日本だとまず、「あの時こうすればよかった」と後悔が出てしまいがちです。起きたことを後悔するよりも、次はこうしよう、次は止められるよ、とみんなでどう乗り越えていくのか考える。そういうマインドが一番大切だなと思うようになりました。試合に負けた時でも、私たちも頑張ったけど、相手もいいプレーをしたよね、とお互いを称え合うことができる文化って、素敵だなと思います。

―もともとポジティブな性格ではなかったということですが、自己肯定感は高い方でしたか?

決して高くはありません。もっとこうなりたい、こうだったらいいのに、というのはいっぱいあります。本当はこんな人になりたいとか、ラグビーなら足が速くなりたいといった具合に。でも、自分は自分。誰も自分にはなれないので、自分を認めてあげるしかないと思うのです。良いとか悪いとかは、誰かが決めることでもないと思います。自分は自分として一度しっかり受け入れて、目指すところに向かってどう取り組んでいくか考えています。


世界は自由だと気付いてほしい


―ラグビーの楽しさに気づく前に、「男性がやるものだから」とあきらめてしまう女性も多くいると思います。先入観や固定観念を持たずに、チャレンジするにはどうしたらいいでしょうか?

本当は、世界はすごく自由なんだよということを伝えたいです。例えば、女性アスリートが化粧をしてもいいし、男性がしたっていいのです。何かをするのに、性別や国籍など関係ありません。自分が好きなことをすればいいのです。確かに、女子がラグビーをプレーするのに抵抗を感じる人がいるかもしれません。その考え方は受け止めますが、それでも私は楽しいから続ける。私がプレーすることによって、一緒に喜んでくれる仲間や応援してくれる人がいます。そこは、信念を持って貫き通していければいいと思います。


―日本の社会は、実沙紀さんのようにエネルギッシュに道を切り拓いていく人以外は、挑戦しづらい社会になってしまっているのではと感じます。扉を開ける勇気が持てない人はどうすればよいでしょうか?

ラグビーに限らず、大多数の人が言っていることが正しく見えてしまう傾向はあると思います。自分が少数派だったとしても、ちょっとだけ勇気を出して声にするだけで、共鳴してくれる人がいるかもしれません。それがだんだん周囲に影響を与えて、ネガティブな社会を変えていけるかも。勇気をもって、ちょっとだけ発言してみる。行動してみる。そして仲間が集まって、否定されなくなって、もしかしたらいつかはそれが当たり前になるかもしれません。言葉にしない限り、その人がそんな考えを持っているということに誰も気づくことができないのです。いろんな考え方が間違いじゃなくなる、ありたい自分でいられる、という世界が広がっていけばいいと思います。

スポーツが背中を押してくれる


―目指していることや、今後こうなりたいという姿のようなものはありますか?

現役生活を続けているうちは、ラグビー選手としてしっかり結果を残すことに集中して、できるだけ高いところを目指していきたいです。そして、ラグビーをやろうとしている子どもたちが、楽しくラグビーやっている先に、素晴らしい景色が見えるということを証明して、ラグビーに夢を持てることを伝えていきたいです。また、女の人がラグビーできるなら、自分もこんなことをできるかも、と他の道で挑戦している誰かが思ってくれたらうれしいし、そう思われるようなアスリート、人でいたいです。

―ちょっと勇気を出して一歩を踏み出すのに、スポーツはどのように助けてくれますか?

「1週間だけ走ってみよう」など、ちょっとしたことでいいので、自分でやると決めたことを続けてみてほしいです。すると、レベルアップして自分が強くなった気がします。 別に重いおもりなんて挙げられなくてもいいので、小さなことからチャレンジして達成感を得られると、だんだんおもしろくなります。 心が強くなっていくのを感じると、それは生きる中で自信になるし、運動以外の他のチャレンジにもつながっていきます。スポーツはそんな成功体験ができる素晴らしいツールです。

SS21_WHM_鈴木実沙紀選手

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