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「THE ONLY WAY IS THROUGH」 が「突き進む」に決まるまで


「THE ONLY WAY IS THROUGH」

突然ですが、この英文の意味がわかりますか?
直訳すると、「唯一の方法はスルー」。なんのこっちゃ。。ネイティブスピーカーくらい英語ができる人でなければ、前後の文脈なしに、この文の意味を理解するのは難しいのではないでしょうか。


2020年1月1日、アンダーアーマーの創業者である、ケビン・プランクが最高経営責任者(CEO)を退任。2017年から社長兼最高執行責任者(COO)を務めてきた、パトリック・フリスクがCEOに就任しました。ほぼ同じタイミングで、アンダーアーマーは新たなブランドメッセージを打ち出しました。それが、「THE ONLY WAY IS THROUGH」です。

このメッセージをもとに、日本でもブランドマーケティングを展開していくわけですが、この文を的確に表現する日本語訳を考えなければなりません。単なる和訳ではダメです。細部までこのメッセージが意図する内容やニュアンスを的確に日本語で表し、日本のお客さんたちにアンダーアーマーの姿勢を正しく理解していただくことが不可欠だからです。今回は、タイトルにもある通り、「THE ONLY WAY IS THROUGH」の日本語訳が「突き進む」に決まるまでのやりとりを詳しくお伝えします。その過程を通して、私たちがブランドとして大事にしている姿勢や価値観を少しでも知っていただければと考えています。

日本語訳を考える前に、まず我々日本のアンダーアーマーのスタッフがこのブランドメッセージが何を表しているのか理解し、イメージを作る必要があります。

まず、アメリカで作られた、「THE ONLY WAY IS THROUGH」の動画をご覧ください。

動画内のキャプションは、最初に英語の動画を見た上で、できる限りそのニュアンスが伝わるよう日本語に置き換えたものです。

大事なのは成功や失敗ではない
挑み続けることだ
どんなに苦しくても
辛くても
ひたむきに
内なる炎を燃えたぎらせるんだ
自分らしく
あるがままに
どれだけやってきたかが重要だ
前に進みたいなら
本気を見せてみろ


抽象的な表現が多いのでコンセプトをまとめるのが難しいですが、「あきらめずに挑戦し続ける、努力を続ける」というニュアンスは伝わってきます。さらに、米国アンダーアーマー本社からもらった資料を読み込むなどして、理解を深めていきました。様々な説明がありましたが、以下の米国アンダーアーマーのクリエイティブ責任者の言葉に、「THE ONLY WAY IS THROUGH」のコンセプトが凝縮されていると感じました。

「これは、ただの広告スローガンではありません。目標を達成するために努力しているすべての人たちによる宣言です。近道も魔法の解決策もありません。ハードワークを重ねて、昨日の自分より少しでもよくなろうとする。それがThe Only Way Is Throughの精神です。だからこそ、私たちはこのメッセージとストーリーを世界に届けることに非常に興奮しています」

メッセージが伝えようとする大きなところのニュアンスを理解した上で、あらためてメッセージの翻訳にトライしました。


「THE ONLY WAY IS THROUGH」

「THE ONLY WAY IS」の意味は「唯一の方法は」です。つまり、「唯一の方法はTHROUGH」となり、THROUGHとは何かを紐解くのが最大のミッションとなります。ネットで調べてもふさわしい日本語訳は出てきません。そこで、ネイティブスピーカーの日本人社員、外国人社員、英会話の先生などにヒアリングしてみました。すると、ほぼ同じ意味のニュアンスが返ってきました。

・前提として、結果ではなく物事に対する姿勢、プロセス
・挑戦を続けて、自分の限界を超える、壁を超える
・他に選択肢はない、避けては通れない、逃げ道はない、やるしかない

ちなみに、中国のアンダーアーマーでは、このように翻訳していました。

有我就没完

直訳すると、「私に終わりはない」という意味です。つまり、限界はない、限界を超える、挑戦を続けるというニュアンスを表現しているのだと思います。

さあ、THROUGHのニュアンスもだいぶ理解することができました。
いよいよ、「THE ONLY WAY IS THROUGH」の日本語訳の候補を挙げていきます。
候補として出てきた言葉は、ざっとこんな感じです。

・挑む
・挑み続ける
・やる
・やるのみ
・やりきる
・やり遂げる
・やりぬく
・やるしかない
・やり通す
・突き進む
・貫く
・貫き通す
・磨く
・立ち向かう


ここから候補を絞っていく上で、3つのポイントがありました。
一つは、前述の通りこれは物事に対する姿勢を表現しており、結果ではないということです。つまり、「やりきる」、「やり遂げる」といった完了形のニュアンスを含む言葉はふさわしくないのではということです。だって、挑戦に終わりはないわけですから。

2点目は、クリエイティブディレクターから入った指摘なのですが、「アスリートボイス」であるかどうかという点です。アスリートボイスとは、アンダーアーマーというブランドが上から目線で語るのではなく、アスリート自らが発する言葉という意味です。私たちはここをとても大事にしています。

具体例を挙げます。以前、部活生をターゲットにしたバスケットボールのウェアについて、
「君の汗を力に」
というコピーを考えました。

このコピーには、アンダーアーマーのウェアは吸汗速乾性が抜群に優れていること、機能性が高くかっこ良いウェアを着ればパフォーマンスが上がるよ、というメッセージを込めました。自分ではけっこう気に入っていたコピーなのですが、ボツになりました。理由はアスリートボイスではないからです。「君の」とある時点で、すでに誰が誰に対して言っている言葉かわかりません。メーカーからアスリートへのメッセージになってしまっています。

実は、最初の段階では「挑み続ける」が有力候補だったのですが、アスリートボイスの観点で考えたときに、アスリートが自ら発するイメージがあまりつかめませんでした。

3点目は日本語が持つ、独特のニュアンスです。
「やるしかない」も「THE ONLY WAY IS THROUGH」のニュアンスを表しているという点では、かなりふさわしい言葉だと思いました。ただ、「やるしかない」と言われると、背水の陣というか、追い込まれているというか、、、日本語だとどうしてもネガティブなイメージがつきまとうよね、という話になり採用しませんでした。


これらの議論を積み重ねた上で、最終的に決定した日本語訳が

「突き進む」

です。

決め手になったのは、アンダーアーマー の創業者であるケビン・プランクの言葉でした。

「あなたが誰であれ、どんなポジションにいようと、いつの日か壁にぶつかる時がある。そうなったら、頭をしっかり下げ、こう言わないといけない。“左や右、後ろに行くというオプションはない。まっすぐ前に進むのみだ。我々はとにかく前進して(困難を)突破していくんだ”」

決して困難から逃げずに、前進する。そして、昨日の自分より少しでも良くなって、ゴールへと近づく。限界を超える。これをもっとも端的に表現していて、言葉の強さも兼ね備えているのが「突き進む」だと判断したのです。

今の自分より少しでもより良くなろう、という意志を持ったアスリートに進化をもたらせるよう、私たちアンダーアーマーはこれからも突き進んでいきます!


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