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「あきらめない、乗り越える」 バスケットボール選手・本橋菜子

3月の「女性史月間」にアンダーアーマーのWOMEN’Sプロジェクトチームは、5人の女性のストーリーをお届けしています。「スポーツを通して女性をエンパワーする」というテーマの下、こちらのnoteでは5日連続でインタビューの全編を掲載。どんな状況でもブレることなく、信念を持って自身の夢や目標に向かって進む彼女たちの姿を通して、スポーツのある生活の素晴らしさや、自分らしく生きることの大切さをお伝えできればと思います。

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最終回は、アンダーアーマーと契約するバスケットボール選手の本橋菜子さんです。本橋さんは、2019年のアジア杯で大会MVPに輝くなど、東京五輪ではチームの主力としての活躍が期待されていました。その矢先に起きてしまった大けが。絶望の淵に立たされる中で、どんなことを考えたのか。多くの壁に立ち向かってきた、これまでのバスケットボール人生を振り返りながら、新たな決意を語ってもらいました。

(聞き手=山下かおる)

本橋3

本橋菜子(もとはし・なこ)
姉の影響で小学生の時にバスケットボールを始める。
早稲田大学をインカレ優勝に導き、Wリーグの東京羽田ヴィッキーズでは2年目から主将を務めるなどチームをけん引。2019年のアジア杯では日本の大会4連覇に大きく貢献し、MVPを獲得した。東京五輪出場を目指している。

けがをして気づいた、バスケットボールへの情熱


―バスケットボールはいつ頃から本格的に始めたのですか?

姉の影響で小学生の頃にバスケを始めたのですが、最初は他にもいろんなことをしていました。小学校4、5年生の時に集中してやりたいという気持ちに変化していって、気づいたらバスケにのめり込んでいました。

―社会人になるまでバスケットボールを続けようと、学生時代から考えていたのですか?

バスケは大学でおしまいと、ずっと決めていました。やめて他のことをしようと思っていたし、自分が社会人で通用するとも思っていませんでした。だから、チームから声をかけてもらった時も、最初はまったくやる気がありませんでした。

―なぜ考えが変わったのですか?

大学で、初めて大きなけがをしました。競技から長い期間離れることで、バスケットボールを心の底からやりたいと言う気持ちが込み上げてきたのです。本当にバスケが好きという気持ちに気づいたことで、覚悟が決まりました。長い人生の中でプレーできる期間は短いですし、やりたくてもできない人もいる。チャンスがあるなら飛び込んでみようと思いました。

―もし、けがをしていなかったら、どんな人生になっていたと思いますか?

まったく別の人生になっていたと思います。今とは違うけど、何か自分にできることを楽しく、精いっぱいやっていたのではないかと思います。自分はとても運がいいなと感じる瞬間がよくあります。いろんな人やタイミングに恵まれて、ここまで導かれてきたのです。


世界と戦う時は、ワクワクする


―163センチという身長は、バスケットボール選手としては決して大きくありませんが、これまでコンプレックスを感じたことはありますか?

大きい選手と対峙した時に、上から簡単にパスを出せるのを見てうらやましいと思うことはありますが、特にコンプレックスを感じたことはありません。誰でも得意なこともあれば、不得意なこともあって、完璧な人なんてそうそういません。163センチという身長は、確かにバスケの世界では小さい方ですが、自分の一つの特徴だと思っているので、短所に感じたことはないです。

―海外には190センチ、200センチを超える選手もいるわけですが、対戦した時にどういう感覚でしたか?

コートの外ですれ違った時は、とても大きいなと感じました。日本の選手とは比べ物にならないサイズで、驚きもありました。でも、実際にコートに立ったら、そういうことは感じなかったです。

―恐怖心のようなものは感じないのでしょうか?

試合中に相手を怖いと思うことはないです。なぜなら、それ以上に練習を積み重ねてきているから。ブロックされたり倒されたりを繰り返して、どうすればブロックされずにシュートができるか、立ち向かっていけるか、ということを常に考えながら練習しています。試合はその練習の成果を発揮する場という感覚です。

―大きい相手と戦うための、具体的な技術のようなものを少しだけ教えてください。

大きい選手にブロックされないようによくやるのは、ドライブした際にワンステップでシュートを打つことです。試合の時は、特にこれをやろうと意識はしていません。プレーしていたら自然とできたというケースが多いです。アジアカップの決勝で中国と対戦した時も身体が勝手に反応してくれて、「これ練習でやったやつだ」と後から思うことがありました。
試合中は必死なので、これをやろうと考える余裕がないというのもあります。

―「世界」は、本橋さんにとってどのような感覚ですか?

私は代表に選ばれたのが社会人になってからですし、常に世界を意識してきた人間ではありません。気付いたら日本代表になって、世界でプレーする状況にいました。正直、最初は不思議な感覚だったのですが、世界と戦う時には日本でプレーするのとは違う刺激をもらえています。なんだかワクワクするし、楽しいなというのが率直な感想です。

最大の武器はブレない気持ち


―本橋さんの一番の強みはどこにあると考えていますか?

気持ちの強さです。技術的な部分でいうと、今の日本代表ではスピードとシュートの部分を求められています。自分の武器として、もっと出していきたいと思っています。

―ご自身で気持ちが強いと感じるのはどんな時でしょうか?

負けたり逃げたりすることを許せない性格なので、きつい場面でもそこで踏ん張れるというところです。例えば、今リハビリしている中でも、同じのことの繰り返しや地道なトレーニングばかりなので、けっこうきついこともあるのですが、やり切ったら絶対に強くなれると自分に言い聞かせて続けています。

―本橋さんのプレーは、とにかく迷いがないと感じます。コートに立つ前に、自分でこういうプレーをすると決めているのでしょうか?

スタメンの時だけでなく、途中出場する時でも、試合の流れを見ながらこういうプレーをすると決めています。自分の役割は決まっていて、それをしっかりやることがチームのためになると信じています。試合までの過程で努力しているので、あとは思い切りプレーするだけ。与えられた自分の役割を、しっかりまっとうすることだけ考えています。

―オンとオフで、気持ちを切り替えるためにどんなことをしているのですか?

オフの時はとことんオフになる、というのが私のやっていることで、自分には合っていると思っています。やるときはしっかりやって、休みの日はバスケのことを考えないようにするのです。一日のんびりボーっと過ごすことが多いのですが、とてもリフレッシュされます。


かすかに見えた希望の光


―オリンピックのメンバーに選出されることはほぼ確実と言われる中で、昨年11月の代表合宿中にけがをされてしまいました。この時のことを教えてください。

目の前が真っ暗になりました。オリンピックを目標に頑張ってきたのに、やばい、終わったと。自然に涙が出てきたのですが、痛かったんじゃなくて、悔しかったんだと思います。
そこから検査するまで、しばらくは不安な状態が続きました。その後、手術をしてリハビリをして、オリンピックの選考に選ばれて、というところまで冷静に考えた時、完全に無理ではないと思いました。問題は、パフォーマンスをどこまで戻せるか。大学4年生の時も同じけがをして、最短のスケジュールで復帰したのですが、パフォーマンスを戻せずに悔しいシーズンを過ごしました。今回も同じような結果になる可能性はあります。でも、完全に吹っ切れたわけではないけど、挑戦しない価値はないと思えるようになり、少しずつ気持ちを前向きに持っていきました。

―苦しいリハビリ生活の中で、気分転換になるようなことはありますか?

朝と夜、寝る前の時間を読書に充てていて、それが良い息抜きになっています。読んでいる本は人から勧めてもらったものが多くて、新しい発見があったり、考えを深めたりしていくことが楽しいです。毎日のリハビリは苦しいですが、思い詰めないようにやっているので、前向きに取り組めています。

―ツイッターで「あきらめない」という発信をされました。その時はどんな気持ちだったのですか?

けがのことは、チームからも正式に発信すると言われていました。いろんな方が心配してくれているので、自分の言葉でちゃんと伝えた方がいいなと思い、素直な気持ちを発信しました。けがで苦しんでいる人はたくさんいて、自分だけではありません。結果はどうであれ挑戦する姿を発信し、見てもらうことで、何かが届けばいいなと思いました。実際、発信に対して多くのコメントやメッセージをもらったのですが、自分の方が逆に勇気をもらいました。この人たちのためにも頑張ろうと、背中を押してもらった気がします。

後悔しないように、できることをやる


―大きなプレッシャーの中で、本橋さんのように結果を出すにはどうすればいいでしょうか?

正直、アジア杯のMVPは自分でもでき過ぎという部分はあるのですが、土壇場で開き直れることは大事だと思います。昔は勝ちたい、結果を出したいという思いが強すぎて、空回りしてしまうこともあったのですが、だんだん開き直れるようになりました。それができるようになったのは、根底にある「バスケットを楽しみたい」という自分の気持ちに気づくことができたからです。本当に苦しい場面で自分を支えるエネルギーになるのは、心の内側から出てくるもの。自分の場合は、単純に楽しんでバスケをしたいという気持ちです。大事な時こそ、何のためにバスケをしているのか、ということを忘れないようにすべきです。

―仲間やチームメイトに自分の気持ちをさらけ出して、お互いの理解を深めるにはどうすればいいでしょう?

実は、今でもあまり得意な方ではありません。ただ、昔は全部自分の中で抱え込んでしまっていて、うまくいきませんでした。ちょっとチームメイトに話したらそれが支えになって、気持ちが楽になりました。ため込むのではなく、支えてもらう。そして自分も支える。チームスポーツだからこそ、仲間との関わり合いが大事になってきます。

―プロのバスケットボール選手として、意識していることはありますか?

好きで続けているバスケですが、今は自分のためだけにやっているわけではありません。さまざまな責任があります。ファンやスポンサーの方がサポートしてくれることで、自分はバスケがプレーできているのです。プレーで結果を出すだけでなく、何かプラスになることで返していかないとと思っています。特に、東京羽田は地域の人たちとの関わりが多いので、そういうことを強く感じます。

―この先のビジョンや目標を教えてください。

今の自分の目標は、日本代表として東京オリンピックで金メダルを獲得すること、Wリーグでベスト4に入ることの二つです。その先は考えていなくて、今の目標を達成することに集中しています。昔から先を見据えるというよりも、今を生きる、というタイプです。今を精いっぱい生きて、積み重ねていかないと、未来にはつながらないと思っています。こういう大変な状況で、どんな未来になるのだろうと、不安に思っている人も多くいると思います。できることを精いっぱいやって、みんなで一緒に乗り越えていきたいです。

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